亡き父の故郷
来年で17回忌を迎える亡き父の生まれた町のことが新聞に出てました。
なんと浦島伝説の地でした。
まさかこんな御伽噺(おとぎばなし)
があるなんて知らなかった。それ理その五本の石柱も見たことがない。
なんとしても一度は見なければならないな。
石の木塚(きづか) 白山市石立町の「石の木塚」は、高さ九十㌢から二㍍の五本の石柱が立ち並ぶ石川県指定史跡である。
石柱には亀を助けたおとぎ話で知られる浦島太郎にまつわる、悲しい逸話が秘められている。
◇石立村がまだ浜崎村と呼ばれていたころ、造り酒屋を営んでいた浦島太郎のもとに、一人の美しい少女が毎晩同じ時刻、酒を買いに訪れるようになった。 怪しんだ太郎はあるとき、少女の後をそっとつけた。浜辺に出たところで、少女は振り返り、太郎に「わたしは竜宮の乙姫(おとひめ)と申します。これから竜宮城に案内します」と話した。 太郎が少女に手を引かれ、海底へと進むと、目の前に豪華絢欄(ごうかけんらん)な城が現れた。太郎は美しい侍女に迎えられ、たくさんのごちそうに囲まれて夢のような時間を過ごした。
やがて太郎と乙姫は夫婦となり、五人の子を授かった。家族と楽しい日々を送っていた太郎だったが、次第に望郷の念が募り、「一度でいいから村に戻りたい」と乙姫に打ち明けた。乙姫は思いとどまるよう頼んだが、太郎の決意は変わらなかった。 海の中を抜け、故郷の海岸に立った太郎は村に駆け込んだ。ところが、不思議なことに顔見知りは一人もいなかった。呆然(ぼうぜん)とした太郎は、失意のうちに死んでしまった。 その後、太郎の五人の子が父を追ってきた。訪れた村で父の死を知った子は嘆き悲しんで立ちつくし、そのまま五本の石柱になってしまった。子どもたちの悲しみの深さを物語るかのように石は地中に深く根を下ろした。
◇ この話は、近世加賀の浦島伝説として「石川郡誌」に収録されている。石の木は、力自慢の弁慶(べんけい)でさえ抜き取れず、その時に付いた指の跡とされる窪(くぼ)みが残っている。 加越能の説話を集めた「三州奇談」には、加賀藩三代藩主の前田利常が家来に石の根を掘らせたが、いくら掘っても先端を見つけることができなかったとある。
その根は遠く石動山((せきどうざん)(中能登町))や、竜宮城にも続いているとされ、町名の由来ともなった。
江戸中期に成立した「稿本(こうほん)越(こし)の下草」には、竜宮から戻った男は数百歳の翁(おきな)となって死に、その後、四人の子をつれて男の墓を訪れた妻が、塚に五本の墓石を立てたという異なる伝承が記されている。 深く根付く木のように、父を失った子の悲しみは時代を越えて語り継がれている。
切り絵・岩田長峯
平成19年12月16日 北国新聞記事より
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